大阪市西成区の一角に広がるこの街は、大正時代に発生した難波の大火を経て遊郭として指定された歴史を持つ。戦後の社会変動や制度の転換期を乗り越え、現在は「飛田料理組合」という組織のもとで「料亭」としての営業形態を維持している。表向きは「料亭と利用客が和菓子や茶を楽しみ、仲居との間に自由恋愛が芽生える」という建前を採ることで、独自の文化と景観を守り続けてきた。
建築物としても極めて貴重であり、大正・昭和初期の木造建築が今なお現役の店舗として機能している。国の登録有形文化財に指定された「百番」をはじめ、歴史的意匠を色濃く残す建築群は、都市開発の波に呑まれがちな現代において奇跡的な空間を形作っている。