長らく「神経質な性格」の一言で片付けられてきたこの病態だが、国際的な潮流は大きく変わりつつある。世界保健機関(WHO)が発行する国際疾病分類『ICD-11』において、恐怖症性不安障害の診断基準はより精緻化された。恐怖が日常生活や社会生活に及ぼす機能不全の深刻度が、国際基準で明確に定義された意味は大きい。
日本精神神経学会の学術大会でも、従来のうつ病や全般性不安障害の陰に隠れていた恐怖症の正確なアセスメントが議論の俎上に載る機会が増えた。統計上、有病率は人口の数パーセントに及ぶとされるが、羞恥心から受診を控えるケースが圧倒的に多い。結果として、引きこもりや摂食障害と誤認されたまま適切な治療に辿り着けない潜在患者が、日本国内だけでも相当数存在すると見られている。