本作の根底にあるのは、「すべての人間は頭に才能の種を持って生まれてくる」というファンタジックな設定です。天界の花さか天使たちが地上に降り立ち、天使のウンチ(肥料)を与えることで頭頂部に才能の花を咲かせ、その人物固有の天賦の才を開花させる役目を担っています。しかし、テンテンが担当することになった小学5年生の桜ヒデユキは、世界で唯一「才能の種をひとつも持たずに生まれてきた無才能少年」でした。
自分の過失でヒデユキの種を紛失したと勘違いしたテンテンは、地上に居座り、ヒデユキに様々な外付けの種を植え付けてはドタバタ劇を繰り広げます。このギャグ描写の裏で、読者が最も気をもんでいたのが「ヒデユキは最終的に何者になれるのか」という一点でした。
迎えた最終回、物語は単なるドタバタ劇から一転、涙なしには読めない感動的なクライマックスへと舵を切ります。数々の試練と日々の努力を経て、ヒデユキの頭に咲いたのは、特定の職業や特殊技能を決定づける花ではありませんでした。彼が咲かせたのは、「何にでもなれる無限の可能性」を秘めた唯一無二の花だったのです。
「生まれつきの才能がなくても、本人の意志と努力次第でどんな花でも咲かせることができる」というメッセージは、週刊少年ジャンプの名作群の中でも屈指の教育的カタルシスをもたらしました。役目を終えたテンテンは天界へと帰還しますが、2人の結んだ友情は永遠に消えないことを示唆し、爽やかな余韻とともに物語の幕は下ろされました。