SNSや口コミサイトで散見される「加味逍遥散を飲み始めてから体重が増加した」という声ですが、加味逍遥散の太る理由を医学的見地から分析すると、主に2つの生体反応が関係しています。
第1の要因は、胃腸機能と自律神経の正常化に伴う「代謝と食欲の回復」です。更年期や過度のストレス下では交感神経が過剰に緊張し、胃痛や食欲不振、消化不良を引き起こしているケースが多々あります。加味逍遥散によって精神的緊張が和らぎ胃腸の働きが戻ることで、無意識のうちに食事摂取量が増加し、結果として体重増加につながるパターンです。
第2の要因は、配合生薬である「甘草」による偽アルドステロン症に伴う体液貯留(むくみ)です。体内に水分とナトリウムが溜まりやすくなり、脂肪ではなく水分量で体重が1〜2kg程度増加することがあります。指輪がきつくなったり下肢に強い浮腫が出現したりした場合は、単なる体重増加ではなく生薬の副反応を疑う必要があります。
一方、加味逍遥散が効かない原因として最も多いのは、東洋医学における「証(しょう:体質や病態)」のミスマッチです。加味逍遥散は本来、体力が中等度以下で、のぼせ感や精神不安、イライラを伴う「虚証〜中間証」の方に適した処方です。体力旺盛でがっしりした「実証」タイプや、冷えが極端に強く熱感(のぼせ)が一切ないタイプが服用しても、期待通りの薬効は発揮されません。