レシピ通りに作ったはずなのに「なぜか身がパサパサで固い」「味が中まで染みていない」という失敗談がネット掲示板などで後を絶ちません。その多くは、調理の常識として信じられている誤った思い込みに原因があります。
最大の盲点は、「強火でアクを取りながらグツグツ沸騰させ続けること」です。煮汁をグラグラ沸騰させると、肉の表面温度が100℃に達し、水分が一気に絞り出されます。一度外へ逃げた水分は、どれだけ煮汁に浸しても戻りません。アクをすくい取った後は、表面の煮汁が微かに揺れる程度の「極弱火」に落とし、落とし蓋をして保温するように煮るのが鉄則です。
また、作り置きとして推奨される機会が増えた鶏手羽元下味冷凍作り置きにも注意すべき落とし穴があります。生肉にタレを揉み込んでそのまま冷凍庫へ放り込むだけでは、冷凍焼けを起こして食感がボソボソになりがちです。
成功の鍵は、冷凍前の脱水と密閉度にあります。肉の表面の水分を完璧に拭き取り、調味液(酒やみりん、オイル類を含むもの)を揉み込んだ後、ジッパー付き保存袋の空気を水圧などを利用して限界まで抜いて真空状態に近づけます。オイル成分が肉の表面をコーティングすることで、冷凍時の氷結晶による細胞破壊を食い止め、解凍後のパサつきを最小限に防ぐことができます。