なぜ世界最高峰のガールズグループが、キャリアの絶頂期において専属契約の解除という極限の決断を下すに至ったのか。その背後には、2024年4月に表面化した親会社HYBEと元ADOR代表ミン・ヒジン氏との激しい経営権紛争、そしてマネジメント体制の激変があります。
事態の発端は、HYBE側がミン・ヒジン氏による「ADORの経営権奪取の試み」を理由に監査を実施し、背任容疑で告発したことでした。これに対しミン氏は緊急記者会見を開き、HYBE傘下の他レーベルによるコンセプト盗用疑惑を挙げ、親会社からの不当な圧力を激しく告発。泥沼の対立の末、2024年8月、ADORの取締役会はミン氏を代表取締役から解任し、HYBEの人事責任者であったキム・ジュヨン氏を新代表に任命しました。
この決定に対し、最も強い危機感を抱いたのがメンバーたちでした。2024年9月11日、5人は所属事務所に無断で独自のYouTube生配信を敢行。「HYBEの中で理不尽な扱いを受けてきた」「ハニが他レーベルのマネージャーから『無視しろ』と言われた」といった職場内での孤立やハラスメントを告白し、9月25日までにミン・ヒジン氏を代表職へ復帰させるよう最後通牒を突きつけました。
しかし要求が受け入れられることはなく、メンバー側は2024年11月中旬、是正要求を盛り込んだ内容証明をADORへ送付。回答期限が切れた2024年11月28日夜、5人は緊急記者会見を開き、同日24時(11月29日0時)をもってADORとの専属契約を解除すると電撃発表しました。会見の席上、メンバーは涙を浮かべつつも明確な口調で次のように語っています。
「私たちはADORを離れます。専属契約の義務を果たさず、私たちの要求を無視し続けたのは会社側であり、もはや契約を維持する理由はありません。信頼関係は完全に破壊されました」(会見での発言より要約)
これに対しADORおよびHYBE側は「一方的な解除通知であり、専属契約は法的に依然として有効である」と主張。契約の存続確認を求める法的手続きを進める方針を示し、双方の主張は真っ向から対立する事態となりました。