映画『みなさん、さようなら』における波瑠の存在感は、作品全体の空気を一変させるほどの強度を持っていました。彼女が演じた松島有里は、濱田岳演じる主人公・渡会悟の中学校時代の同級生であり、後に彼の人生において決定的な転換点をもたらすキーパーソンです。
視聴者の間で特に大きな話題を呼んだのが、成長した悟と有里が団地の一室で再会し、肌を重ねるベッドシーンでした。当時、ファッション誌『Seventeen』や『non-no』の専属モデルとして知られ、クリーンで清楚なパブリックイメージを持っていた波瑠が、ためらいのない情熱的な体当たり演技を披露したことは、観客や業界関係者に強い衝撃を与えました。
当時のインタビューや関係者の証言によると、このキャスティングは単なる話題作りではなく、「団地という狭い箱庭の中で停滞する日常」と「急速に大人へと変貌していく少女の残酷なまでの生々しさ」を対比させる演出意図に基づいたものでした。波瑠は自らのイメージに固執することなく、思春期特有の衝動とアンニュイな影を抱えた有里というキャラクターを完璧に体現。その覚悟に満ちた表現力が、現在に至るまで語り継がれる最大の要因となっています。