なぜ根拠のない「妊娠デマ」がこれほどまでにネット空間で再生産され続けるのか。その背景には、デジタルメディア特有の情報拡散メカニズムと、受け手側の認知バイアスが存在します。
まず挙げられるのが、一部のまとめサイトや動画プラットフォームによる「クリックベイト(釣り見出し)」の手法です。「【電撃発表】大谷翔平がついにパパに?」「真美子夫人、極秘出産か」といった扇情的なタイトルを掲げ、動画内では「噂がある」と述べるだけのコンテンツが再生数稼ぎのために量産されています。こうした投稿のサムネイル画像には、意図的にトリミングされた写真や過去の画像が使われ、視聴者に誤認を与えています。
さらに、人間が一度持った仮説を補強する情報ばかりに目が行く「確証バイアス」も影響しています。「真美子さんがふんわりした服を着ていた」「乾杯の席でジュースを飲んでいたように見えた」といった些細な断片情報が、妊娠という結論に無理やり結びつけられて解釈されてしまうのです。
公の場に登場するトップアスリートの妻である前に、一人の個人としての私生活が存在します。画像一枚の切り取りから真偽不明のストーリーを組み立てる言説には、慎重な姿勢を保つ必要があります。