話題の傑作『恋に至る病』の結末に隠された衝撃の真相とは何か。読者が最も戦慄するのは、張り巡らされた伏線が一気に回収されるクライマックスにおいて、「事件の構図」が180度反転する瞬間です。
物語の表層では、寄河景という怪物が無垢な生徒たちを言葉巧みに洗脳し、自殺という名の生贄を捧げさせていたかのように描かれます。逮捕され死刑判決を受けた景に対し、宮嶺は面会室に通い詰め、なぜ彼女がこれほどの凶行に及んだのか、その真意を探ろうとします。
しかし、明かされた真実はあまりにも残酷で、美しい狂気に満ちていました。
景が殺害(自殺教唆)した人々は、ランダムに選ばれた無作為の犠牲者ではありません。彼女が排除したのはすべて、「宮嶺望の人生や心を傷つけた者」「宮嶺にとって害悪となる存在」、あるいは「宮嶺と景の完全な関係性を邪魔するノイズ」だったのです。
景にとっての150人以上の死は、自らの力を誇示するための儀式ではなく、宮嶺への献身であり、宮嶺のための「世界の浄化」でした。さらに戦慄すべきは、宮嶺自身が無意識のうちに景へ送っていた微細なSOSや悪意を、景が完璧に受信し、先回りして物理的に抹殺していた点です。
拘置所のガラス越しに向き合う2人。景は宮嶺に「自分を殺してほしい(死刑にしてほしい)」という究極の願いを託し、宮嶺はその願いを受け入れ、彼女を処刑台へと送り出します。彼女を自らの手で永遠に失うことによって、宮嶺の心には寄河景という存在が一生消えない絶対的な傷として刻み込まれます。これこそが、彼女が仕組んだ「永遠に解けない恋の呪縛」でした。