競馬コミュニティやSNS上で毎年議論の的となるのが、「冬の京都は馬場が荒れているから外差しが決まる」という俗説だ。2月の京都競馬は開催が進み、内側の芝が掘り起こされて茶色いターフが目立つ。そのため、多くのファンが直感的に「馬場の良い大外を回した差し馬が豪快に突き抜ける」というシナリオを描きがちである。
しかし、近年の京都記念のコース傾向を詳細にプロットすると、この直感は半分正しく、半分は危険な誤解である。確かに内ラチ沿いの馬場は荒れているものの、京都の芝2200m外回りは、4コーナーを回った後の直線が約404メートルと、東京(約525m)や新潟外回り(約659m)に比べて遥かに短い。
大外をぶん回して届くのは、抜けた能力を持つごく一部のGI馬のみ。実際に好走している伏兵馬の多くは、「3コーナーの下り坂を利用してポジションを押し上げ、傷んだ内側を避けて馬場の真ん中(3〜4頭分外)を通って経済コースを立ち回った馬」である。完全な追い込み一辺倒の馬に過度な期待を寄せるネットの風潮は、コース設計の力学を無視した典型的な罠と言わざるを得ない。