ネット上のイラスト講座やSNSのタイムラプス動画を見ていると、「上手に見せるには細かいグラデーションや陰影をつけなければならない」という思い込みに囚われがちです。しかし、これは初学者が最も陥りやすい罠です。
手帳やカードなどの実用イラストにおいて、細密な描き込みはかえって画面を煩雑にし、「視覚的ノイズ」を増やしてしまいます。プロのデザイナーが実践しているのは、細部を描くことではなく、徹底的な「引き算の美学」です。例えば、貝殻を描くときは溝をすべて描くのではなく、外枠のホタテ貝形状に縦線を2本入れるだけで、人間の視覚補正によって完璧な貝殻として認識されます。「情報をあえて7割にとどめる」ことこそが、失敗しないための最大の秘訣です。