法改正から年月が経ち、制度としてのサ高住は成熟を見せています。しかし、ネットの掲示板やSNS、知恵袋を検証すると、依然として現場の実態に対する不満や後悔の声が散見されます。それらの多くは「住宅」と「介護施設」の境目を曖昧にしたまま契約したことに起因しています。
ある大手ポータルサイトのコミュニティには、入居からわずか半年で親の転居を余儀なくされた長男の切実な投稿が寄せられていました。
「母がまだ元気に歩けていた頃に『自由に出入りできてプライバシーが保たれる』と気に入ってサ高住に入居させた。しかし軽度の認知症が進行し、夜間に徘徊を始めた途端、施設長から『当住宅には夜間の見守り専任スタッフがおらず、他の方の安全が確保できないため退去してほしい』と告げられた。病院付きの老人ホームだと勘違いしていた自分の不勉強を呪った」
これはサ高住の持つ構造的限界を如実に表しています。日中は職員が常駐していても、夜間はコール対応のみ、あるいは警備会社への委託にとどまる物件が少なくありません。介護スタッフが24時間常駐する特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームとは根本的に体制が異なります。
一方で、自立〜要支援段階で住み替えた層からは「門限や食事の時間が厳格に決められた老人ホームと違い、台所で自炊もでき、友人とお茶を飲む生活を維持できている」「一人暮らしの孤独感から解放され、毎日誰かが声をかけてくれる安心感は何物にも代えがたい」といった高評価の声も多数存在します。自由と安全のトレードオフをどう捉えるかが、利用者の満足度を二分している現場の実態が浮かび上がります。