ランウェイの尖鋭的な実験が大衆の日常着へと浸透していくプロセスは、実に興味深い。デムナ率いるバレンシアガが極端なエクストリーム・シルエットでモード界を震撼させた数年後、そのエッセンスは見事に咀嚼され、私たちの手の届く場所に降りてきた。その最大の功労者が、クリストフ・ルメール率いるUniqlo Uだ。
株式会社ファーストリテイリングが誇る圧倒的な生産インフラとルメールの卓越したカッティングが交差したとき、アパレル産業の潮目が変わった。わずか千数百円のプライスタグを付けたカットソーが、高級ブランド顔負けの立体的な立ち姿を実現する。この民主化によって、ビッグシルエットは流行から「恒久的なインフラ」へと定着したのである。