普段と比べて「スリルが弱い」「まったく触れない」と感じた場合、血管内部や循環動態に何らかのトラブルが発生しています。その背景には、以下のような原因が考えられます。
1. 内シャントの狭窄(血管が細くなる)
透析の針を繰り返し刺すことや、過剰な血流負荷による血管内膜の肥厚によって、血管の通り道が狭くなる現象です。内シャントの狭窄症状が進むと、狭い部分を境にして血流が急激に低下し、スリルが減弱します。
2. 血圧低下や脱水による血流量不足
透析後の除水過多、発熱、下痢、夏場の大量発汗などによって全身の血圧が急低下すると、シャントへ流れ込む血液量自体が減少し、スリルが極端に弱くなります。血圧が上がれば戻ることもありますが、血流停滞は血栓形成の引き金になるため油断は禁物です。
3. 物理的な圧迫
シャント側の腕を下にして寝てしまった(腕枕)、重い荷物を腕に掛けた、締め付けの強い衣類や腕時計を着用したなど、外部からの圧迫によって血流が物理的に遮断されるケースです。
4. 血栓による完全閉塞(スリル消失)
狭窄した部位に血の塊(血栓)が詰まり、完全に血流が途絶えた状態です。この段階に達するとシャントのスリルは完全に触れなくなり、聴診器を当てても血管雑音が一切聞こえなくなります。一刻を争う緊急事態です。