最も読者が恐れている「舌癌(ぜつがん)」と「性感染症」について、客観的なエビデンスに基づいて解説します。
まず、舌癌の初期症状の見分け方ですが、舌癌全体の約85%から90%は「舌の側面(舌縁部)」に発生します。舌の真ん中や上面の奥(有郭乳頭がある場所)に初発する舌癌は全体の数パーセント未満と極めて稀です。ただし、側面の奥にある葉状乳頭付近は舌癌の好発部位と重なるため、慎重な見極めが求められます。
最大の見分けのポイントは「硬さ」と「治癒までの期間」です。一般的な口内炎や舌の奥の危険な兆候を比較すると、通常の口内炎であれば強い痛みを伴いながらも10日から最長2週間程度で上皮が再生し、自然に消失します。一方で、舌癌の場合は病変の基部(根元)にゴムまりのような「硬いしこり(硬結)」を触知し、2週間を超えても縮小せず、徐々に拡大していきます。初期の段階では痛みがほとんどないケースも多いため、「痛くないから安心」と思い込むのは非常に危険です。
次に、舌の奥のぶつぶつと性病・HPV(ヒトパピローマウイルス)の関係です。オーラルセックスの普及に伴い、口腔領域への性感染症(尖圭コンジローマ、梅毒、淋菌など)の感染例が報告されています。HPVに感染すると、舌や咽頭に「イボ状」「カリフラワー状(鶏冠状)」の突起が多発することがあります。また、近年ではHPVの高リスク型(16型など)が原因となる「中咽頭癌」が若年層から中年層にかけて増加傾向にあり、舌の付け根(舌根部)や口蓋扁桃に無痛性の腫瘤を形成することがあるため、不特定多数との性接触歴がある場合は注意深い問診が行われます。