この街の夜は、食に貪欲な大人たちを引き寄せて離さない。路地を少し奥へ入れば、看板すら掲げていない小さなビストロや、カウンター数席のクラフトバーが灯りを燈している。
特徴的なのは、シェフたちのバックグラウンドの多様さだ。有名店でのキャリアを捨てて「自分の目が届く規模」で独立した30代の料理人たちが、西小山の小さな物件に集結している。ヴァンナチュールを片手に、現地の香りをそのまま再現したクラフト点心をつまむ。かと思えば、深夜2時まで本格的な自家製シャルキュトリーとクラフトジンを愉しめる店がある。敷居は低く、クオリティは妥協なく高い。この絶妙なバランス感覚が、夜な夜な食通たちを各駅停車へと向かわせる。