鹿児島市電の車窓を眺めていると、線路の間に鮮やかな緑が敷き詰められている光景に目を奪われます。この「芝生軌道(緑化軌道)」は、総延長約8.9キロメートルにおよび、路面電車の緑化規模としては日本最大級を誇ります。
なぜ線路を芝生で覆っているのか。その理由は単なる景観美化にとどまりません。現場取材および交通局の公開資料によると、以下の3つの明確な環境工学的理由が存在します。
- ヒートアイランド現象の大幅緩和:アスファルトやコンクリートと比べ、路面温度が夏季の日中で最大約10〜15度低下し、市街地の冷却効果を発揮。
- 桜島の降灰対策と散水メンテナンス:桜島の火山灰が舞い上がるのを防ぐ効果があり、専用の芝刈り・散水軌道車「芝刈り電車」が夜間に定期メンテナンスを実施。
- 走行騒音・振動の吸収:芝生層がクッションとなり、電車走行時の金属音や低周波振動を約3〜5デシベル低減。
また、観光の目玉として運行されているのが観光レトロ電車「カゴシデン」や特別デザイン車両です。大正・昭和初期のレトロな車体を模した木目調の内装が施され、車内アナウンスでは鹿児島弁を交えた観光案内が流れます。運行スケジュールやリアルタイムの運行状況は、鹿児島市交通局の公式Webサイト上にある「市電ロケーションシステム」を通じてスマートフォンから確認可能です。